無印良品から学ぶビジョンのあり方

2021.03.01 Mon
カテゴリー ▶︎  Branding Other

ブランディングが成功している企業の世界的代表格としてあげられる無印良品。
僕も大好きですし、世界に誇れる日本のブランドの中でも日本らしく、かつオリジナリティー溢れる素晴らしいブランドです。
今日はそんな無印良品からブランドの根幹を担うビジョンのあり方について考えていきたいと思います。

無印良品のブランディングは型にハマっていません。
ブランディングのロジックといえば、こうしろああしろと型にハメがちです。個人的な見解ですが、ブランドというのは人の心理を多分に含んだ抽象的なものなので、型にハメないと掴みどころがないのかもしれません。

ですが、企業は生き物であるために学問をそのままなぞらえているだけでは生きたブランドは出来上がらないのも現実です。
これだけ行えばブランディングできていると勘違いしてしまう原因にもなり、本当にブランド力向上につなげる行動が疎かになりがちです。
代表的なのはビジョン、ミッション、バリューといった形式が企業の思いを表面的な言葉にしてしまいがちなことです。
形式にこだわるばかりにお題目になっていることは否めません。

一方で、無印良品のサイトにある「無印良品の未来」というページ。
このページに記載されている言葉の奥深さには目を見張るものがあります。
以下無印良品公式ページに掲載されているビジョンの抜粋です。

無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。

しかしながら「で」にもレベルがあります。無印良品はこの「で」のレベルをできるだけ高い水準に掲げることを目指します。「が」には微かなエゴイズムや不協和が含まれますが「で」には抑制や譲歩を含んだ理性が働いています。一方で「で」の中には、あきらめや小さな不満足が含まれるかもしれません。従って「で」のレベルを上げるということは、このあきらめや小さな不満足を払拭していくことなのです。そういう「で」の次元を創造し、明晰で自信に満ちた「これでいい」を実現すること。それが無印良品のヴィジョンです

中略

利益の独占や個別文化の価値観を優先させるのではなく、世界を見わたして利己を抑制する理性がこれからの世界には必要になります。そういう価値観が世界を動かしていかない限り世界はたちゆかなくなるでしょう。おそらくは現代を生きるあらゆる人々の心の中で、そういうものへの配慮とつつしみがすでに働きはじめているはずです。

1980年に誕生した無印良品は、当初よりこうした意識と向き合ってきました。その姿勢は未来に向けて変わることはありません。

無印良品公式サイトより抜粋。

多くの企業が型にはめたビジョンをメッセージとして発信する中、無印良品はこのようにとても思慮深い独自の哲学で綴っています。
この思慮深さが無印良品のブランドを担保する源だと思うのです。

形式にこだわることなく、自社がどんな企業になろうとしているのか、それを真摯に考え、自分の言葉で語る。
それこそが本来ビジョンのあり方だと思うのです。

企業の思い、つまりビジョンは表面的な飾り言葉になってしまっては何も意味がありません。
それは企業の魂という大切な要素である反面、消費者にとっては極端にいうと直接的な恩恵がないからです。
しかし一方で企業のビジョンは、企業のミッション(果たすべき使命)やバリュー(他社には真似できない独自の価値)を決定づける指針となり、結果的に消費者に影響を及ぼす、ブランド造りのスタート地点になるものです。

そこから導き出されたサービスは消費者からの共感を呼びます。会社にとっては社会としての存在価値の源となり社員の活力になる。消費者にとっては自己投影心理を満たします。「こんなブランドを選んでいる自分」に充足感を得る心理があるのです。それが購買につながり、顧客のファン化を促しブランド力に貢献していきます。

だからこそビジョンは、その企業の本当の思いを自分の言葉で伝えなくてはいけないし、体現していかなくてはいけないのです。
思慮深いものであればあるほど、説得性と独自性を増していき、奥行きのある企業へと進化していく土台となります。
デザインに反映され、店舗、商品、プロモーションへと波及しているのは、無印良品を見れば一目瞭然です。

表面的ではなく、いかに自身の思いについて深堀して言語化してビジネスに活かせるのか。
それこそがブランディングの真骨頂であり、ファンを想出する源だと思うのです。

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