フレームワークは必要か

2022.07.24 Sun
カテゴリー ▶︎  Branding Marketing Other

ビジネスシーンにおいて何かを企画したり分析したりする際、フレームワークを使ったことがある人はたくさんいることと思います。経営コンサルタントやブランドコンサルタントなども頻繁につかいます。しかし一方で、フレームワークなんて必要ないという意見もたくさん耳にします。
たしかに、こうしたフレームワークにはアレルギー反応を起こす人はかなりいます。まあ分からなくもないですが。。。

ビジネスシーンで多用されるフレームワークは効果的なんでしょうか。それともただの自己満足ワークなんでしょうか。
今日はフレームワークの是非について、ご紹介します。

フレームワークとは

まず、フレームワークとはそもそもなんでしょうか。
実にたくさんのフレームワークが世に溢れていますが、代表的なのは、3C分析、SWOT分析、PEST分析といったところでしょうか。
3C分析は、Company(自社)Consumer(消費者)Competitor(競合)の視点で、ビジネスチャンスを考えてみようというもの。
SWOT分析は、Strength(強み)Weakness(弱み)の視点で、Opportunity(機会)Threat(脅威)は何があるか分析してみるもの。
PEST分析は、Political(政治)Economy(経済)Social(社会)Technology(技術)の視点で世の中に転がる機会を探してみようというもの。

このように考え方の枠組み(フレーム)が用意されており、その中で考えていくものがフレームワークです。

フレームワークはお膳立てされた場である

一般的にはフレームワークは経営コンサルタントや大学の教授などが開発しています。ハーバードビジネスレビューなどでも新しく開発されたフレームが紹介され、その中でも優秀なものがビジネススクールなどで広められ、一般化するようです。

経営学や研究によって生み出された知見は、一部のプロの経営者だけ理解できても仕方ありません。経営の専門家でもない中小企業の社長にも、商品開発をしているチームメンバーにも理解され、その結果、いいものが生み出され、経済の好循環に繋がらなければなりません。そこで実際のビジネスの現場で活用しやすいように開発されているのがフレームワークです。決してフレームワークを作るために、経営学を研究しているわけではありません。
まあ、そういう人もいるかもしれないですが。。

例にもあげた3C分析やSWOT、PESTなどは、分析に必要な視点を上げているにすぎません。物ごとを考える・分析するには、目的に応じて必要な視点が必ず存在します。しかし小難しく話しても理解されない。理解できても、つい考える際に忘れてしまう。そういった時にも必要な視点で考えやすくするためにお膳立てされたものが、フレームワークなのです。

フレームワークのメリットとは

僕個人の意見としては、フレームワークは必要だと思っていて、ぜひ経営企画や商品企画などにバンバン使ってほしいと思っています。僕が考えるメリットは以下の通りです。

視点の取りこぼしが少ない

人には考え方の癖が必ずあります。自分ばかり考える人もいれば、人の目線ばかり考える人もいます。視野がそれぞれ違うのです。最初から視点が用意されているフレームワークでは、自分の思考に流されて「自分のことしか考えてなかった!」といったことが防げます。

複数人で取り掛かるプロジェクトでは、それぞれの立場だけで物事を捉えてしまって、意見がぶつかるだけで議論が浅くなってしまうこともあります。考えるべき視点が用意されることで、どんな経験、立場でも必要な視点を持って考えやすくなります。

思い込みから脱却できる

普段の思考にはない視点で考えることで、新たな発見がでてきます。新たな発見というのは、世の中的には新しくなくても、当たり前のことであっても、その人にとって新たに気づいたことのことです。

人は大抵、何かの思い込みの中で生きています。この思い込みは、何かを企画するときに邪魔になります。典型的なのは、強みを思い込んでいるケース。強みというのは相対的であって、どのポジションに自分がいるかによって強みは変わります。英語ができることが強みといっていても、外資系にいったら強みでもなんでもありません。

そうした思い込みから脱出しないと、明後日の答えを出してしまいます。

アウトプットする作業が思考を助けてくれる

僕はデザイナーなので、アイディアを考えたり、クライアントの状況を整理して、コンセプトを考えるのは日常茶飯事ですが、その時のコツ、というか大切なポイントがあります。

それはとにかく書いて、とにかくアウトプットしていくこと。

クリエイティブ関係じゃない人は、書かない人が本当に多い。頭の中だけでずっと考えてる。これは本当によくないと思います。言葉でも絵でもとにかく可視化することで、次のクエスチョンやアイディア、気づきが生まれます。フレームワークは、アウトプットする手助けをしてくれます。

声の大きい人が話すだけの会議から脱却できる

フレームワークを個人で使用するだけでなく、会議で使用することもあります。その場合ワークショップ形式になっていきますが、その時のメリットがこれです。
ワンマン社長がいる会社では、ひたすら社長が話して終わりだけの会議は未だにたくさんあります。逆に若い社員が意見を発してくれない、なっていうことも。そういった状況から脱しやすい会議にフレームワークは導いてくれます。

会議のファシリテーションを、話術に頼らなくていい

フリートークで話しているだけだと、ある意味、会議のコンパスがなくなる時が多々あります。そうするとひたすら横道にそれて、その結果、何が決まったんだっけ?なんていうこともしばしば発生します。フレームワークがあると、目の前に考えなくてはいけない視点があるので、議論を元に軌道に戻しやすい利点があります。

僕の肌感覚では、フリートークに自信がある人ほど、フレームワークは不要だと言っている気がしています。それは彼らの能力なだけであって、必ずしも自分に当てはまるかは別物です。

フレームワークの注意点

次は注意点です。ほんとはデメリットと称して書きたかったのですが、そうじゃないなと。。実はこれが結構難儀でして、この注意点を解消しないとフレームワークの恩恵は受けにくいと僕は考えています。

一つのフレームワークで完結はしない

何を行うかにもよりますが、基本的には考えるためのツールであり、視点の提供をしているのがフレームワークです。
たとえばPEST分析などは世の中の状況を棚卸しして、どこにチャンスがあるか、何を注意すべきか俯瞰的にみるものですが、世の中の考察ができたところで、具体的なアクションにはつながりません。
3C分析では、自社、消費者ニーズ、競合の三つの視点で考えるものですが、消費者ニーズを知るにはPEST分析が必要になるかもしれません。もっというとニーズを掘り下げるためのフレームワークもあったりします。

あくまで考えるための枠組みを用意してくれているに過ぎないということ。このことを忘れてはいけません。大事なのは、必要な答えを出すためには、他のフレームワークと組み合わせたり、時には、途中までフレームワークで進めて、あとは自分独自のやりやすい方法で考えてみるなどの柔軟性を忘れてはいけません。

答えを出すツールではない

フレームワークの本質はあくまで考える視点や術(すべ)を用意しているに過ぎません。実際にフレームワークなんて使わなくても普段から考えることができていることもあります。3C分析なんて僕らデザイナーは無意識に考えていることです。

あくまでその視点をテーブルの上に並べているに過ぎない。そこから、どこまで考え、どこに着目するかはその人の技量にかかってきます。

僕の場合、バーっとフレームワークに沿って記載していったら、それをじっくり見ながら紙に気づいたことを文字や図、絵などを書いて、考え方を整理しながら深堀していきます。

内容を埋めることに必死になって、いざ考える時、浅はかになっては意味がありません。フレームワークやワークショップなどで、その場で出た答えや仮説は、大抵は浅はかなものばかりです。埋めるためにあるのではなく、考えるためにあるということを忘れないでください。

フレームワーク病にならない

フレームワークを使用しなが考えないと、ちゃんと考えられていないんじゃないかという強迫観念に縛られてしまう人がいます。これはコンサルタントなどが陥りがちで、実は僕も昔、その傾向になってしまったことがあります。これは本当によくない。時間ばかりかかってスピード感もなくなるし、何より自分が辛い。時にはジャストアイディアでポーンと決めちゃうことも必要です。

手順と考え方を考える

これが結構難儀なんですが、手順を間違えたり目の前のフレームワークに固執してしまうと、失敗に終わってしまいます。
たとえば3C分析だと、自社・競合・顧客ニーズの3つの視点で考えるフレームワークですが、すべて埋めてから、いざ考えようとすると間違いなく固まります。

3C分析の場合、市場機会を考えることが主な目的になると思いますが、ポーンと出てくりゃ、そりゃあ苦労なんてないですよ!それができたら相当に頭がいいか、よほど企業力が高いのでしょう。

そもそも競合設定って簡単に言いますが、例えば美容室の場合、どこまでを競合として捉えて分析すればいいのでしょうか。美容室はコンビニより多いって言われています。人は地元で行ったり、職場近くのを利用する人もいれば、わざわざ休日に電車にのって表参道の美容室を利用する人だっています。そうした時、競合はどの範囲にすればいいのでしょうか。

フレームワークでいくらお膳立てされていても、その一つ一つをどのような考え方で埋めていくのか、どの手順で行えばやりやすいのか、そういう細々した問題が横たわっているのです。
何度もいいますが、あくまでフレームワークは考えるための視点でしかないのです。

目的を見失わない(仮説思考をもつ)

フレームワークを使った分析は、先にも述べたとおり一つでは完結できないものがほとんどです。そのため、どんどん考察の蟻地獄にはまっていく場合があります。〇〇が明確でないと〇〇が出せないといったことのループになって、結局どのフレームワークも使えないものばかり、といった思考になります。どこまで割り切るのか、という線引きは何を考えるにしても必要です。そのために、何のためにフレームワークを行なっているのかを明確にしておくべきです。

そうすることで、仮説を出すことへの抵抗がなくなります。答えがビジネスの中に転がっているなら苦労はありません。誰も答えなんて分からず、そして予算も時間も限られているからこそ仮説が必要です。

その仮説を効率よく、漏れなく立案できるように補助してくれているのがフレームワークです。都度目的を設定してから、フレームワークをつかうようにしましょう。

まとめ

フレームワークへのアレルギー反応は正直僕にもあります。僕の場合、どこかの本で読んだことをただ偉そうに語っているだけの胡散臭いコンサルタントをイメージするのと、なんでもかんでも分析分析、調査調査というのが、窮屈に思えてしまって、イライラするのです。
だけどそれはなんとなくのイメージであって、フレームワークが存在する理由は確かにあります。私たち凡人にはついつい見失いがちな視点を補ってくれるもの。それがフレームワークです。

簡単にできるものや難しいものなど様々ですが、個人で考える時にでもちょっと思い出して使っていくと、自分なりのやり方が見えてきます。
ぜひフレームワークをうまく活用して、ビジネスを効率よく面白くしていってください。

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