ウェブサイト制作の期間設定に迷っている方へ:適切な納期の決め方

2023.05.11 Thu
カテゴリー ▶︎  Web

お客様の中には、ウェブサイトは1ヶ月程度で完成できると思っていらっしゃる方が一定数いらっしゃいます。また、ウェブサイト制作の期間について記載しているネット上の記事では、10〜15ページ規模で3ヶ月目安というのが一般的な回答のようです。
内容によりけりなので一概にはいえませんが、3ヶ月という制作期間は、弊所では「時間のない案件」とみなすことが多いです。なぜなら多くの場合、3ヶ月スパンで進行すると、クライアント側の社内調整が追いつかないことが多いためです。また、企画戦略に時間がとれず、おざなりになってしまうといったことも。そのため「クライアントを置き去りにした進行」となってしまい、不満に繋がりかねません。

ウェブサイトはあくまで、お客様の課題を解決するために制作します。
もちろん大まかな計画を立てる目安として、ネットの記事を参考に期間設定するのはいいのですが、それだけに目が奪われて、課題解決に必要な制作期間を確保しそびれてしまったら、まずいわけです。
そのため、本記事では一般的なウェブサイト制作の流れと、クライアント側のタスク、その期間の考え方について書いていきたいと思います。

ウェブサイト制作の流れとタスク

大きな流れとしては、以下の3フェーズがあります。

  • 企画、戦略フェーズ
  • デザイン制作フェーズ
  • コーディングフェーズ

それぞれの詳細は以下の内容です。

企画・戦略フェーズ

まず、企画を練るには制作チームがお客様のことを知る必要があります。当然HPや会社案内などでも調べますが、直接のヒアリングや現場視察などが行われることもあります。
また現在運営されているウェブサイトの状況把握なども行われます。それらが完了したら以下の設定を行なっていきます。

  • 目的に沿った目標の設定
  • ターゲットの設定
  • 訴求ポイント(どの魅力をフォーカスして伝えるのか)の設定
  • スケジュールの作成
  • サイトマップの作成
  • ワイヤーフレームといった各ページの構成書の作成

といった制作前に必要なことを決めていきます。
これらは課題や規模によって設定までの道のりに差がありますが、仮に「問い合わせ率を高めたい」といった分かりやすい目的の場合、営業戦略や今までの受注率などの数値とあわせて、どれくらいの問い合わせ数があればいいのか、など目標値を設定したりします。安直に「100件増やしましょう!」と目標値を決めている企業も多いですが、本来は営業部の意見と連携しないといけないのです。

ほかには、ユーザビリティーの改善が強く求められている案件では、ワイヤーフレームの段階で、ターゲット層に近しい人に協力をあおぎ、シミュレーションしてみたり、それなりに力をいれる箇所でもあります。

また、サイト構成やワイヤーフレームを安直に決定した結果、蓋をあけてみると掲載できるコンテンツがない!といった企画倒れというオチも他方で耳にします。

戦略や企画は、制作会社に丸投げでやってくれるだろうと、安易に思っているクライアントは多いですが、企業の実態と照らし合わせながら、ディスカッションして決めていく必要があります。どの程度力をいれるかは課題にもよりますが、ブランディングを見据えたコーポレートサイト制作などでは、お金をかけずとも、ある程度腰を据えて行うべきフェーズといえるでしょう。

デザインフェーズ

企画戦略フェーズをもとに形に起こしていくフェーズになります。

制作チーム側のタスク

  • 各ページのデザイン
  • ライターによるコピーライティング
  • 撮影(場合によってはイラストレーターによるイラスト)
  • 上記進行に必要なファシリテーション

クライアント側のタスク

  • インタビューや撮影のための調整(事前アンケート徴収、決行日時調整、工場など撮影現場の調整、人員調整など)
  • コンテンツに必要な情報収集(事例を掲載するのであれば、担当部署と連携し収集するなど)
  • 決裁権のある方への事前通達(決裁をおこなっていただくために時間を事前に確保しておく)
  • デザインの確認(自社のイメージとして相応しいか、使いやすいか、など)
  • コンテンツの内容確認
  • 文章の内容確認
  • 社外秘のものがまざっていないか確認(写真などに映り込むことがある)

具体的なデザインや文章を作り始めるため、これまで見えていなかった問題が浮き彫りになることがあります。大きい組織や機密事項の多い業種によっては、インタビューや撮影のための調整が困難を要することも。
デザインや文章の最終確認では、上長の時間が確保できず、決裁が遅れることもあります。
こうしたことにより、スケジュールが後ろ倒しになる場合があるため、制作チームだけでなくクライアント側にもタスクが多いのが現実問題としてあります。

コーディングフェーズ

デザインが完成し決裁がおりたらコーディングという作業に入ります。
これらは完成したデザインを元に、エンジニアがプログラミングを書き、ウェブサイトで実際に動く形に仕上げる工程のことです。パンフレットなどで例えると、印刷の工程に近いですね。

ここでは以下のことが行われます。

制作チーム側のタスク

  • 各ページのコーディング
  • サーバーの設定
  • CMSの組み込み(自分たちで投稿や更新できるシステムのこと。ワードプレスなどが有名)
  • Google AnalyticsなどのSEOに付随する各種設定
  • キーワードやページのタイトル名などの文言作成

クライアント側のタスク

  • サーバーの用意
  • URLの用意
  • Google Analyticsなどのタグを用意
  • コーディングの確認(内容にミスがないか、表示がくずれていないか、URLやリンク先がまちがっていないか など)

専門的なことが多く、特にサーバーやURLのご用意などは、クライアント側で業者を決定し契約いただく必要があり、戸惑うことが多いフェーズです。そのための制作チームがフォローアップするために打ち合わせの場を設けることも多いです。
実際はクライアント側のタスクはコーディングの確認以外は、企画戦略フェーズの段階から粛々と準備を進めておく、という流れが一般的です。また、SEOに付随する部分においては、SEOを重視したサイトであればあるほど、企画戦略フェーズの段階でしっかりと詰めておく必要があります。

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と、ここまでが一般的なタスクになります。
より省エネにするために、文章はすべてパンフレットからひっぱってくる、撮影はせず購入写真で対応するといったプロジェクトもたくさんあります。その逆もしかりで、タスクがもっと複雑かつ大量にあるプロジェクトも存在します。

どれだけのスピード感で対応できるかをイメージする

私が経験した例では、企画から納品まで、さら〜っと進む案件もありますが、ある企業では、他部署の調整のため、確認作業だけで都度2週間以上の時間を必要とする企業もありました。つまり2回確認いただくだけで1ヶ月かかることになります。時間がいくらあっても足りないですね。

担当者の裁量の問題もあるのですが、会社規模、関わる部署の数によって、情報共有や調整に時間がかかることがあり、これらの要因が制作期間に影響することがあります。つまり、ウェブサイト制作のページ数が同じでも、クライアント側の負荷は異なるため、制作期間を単純に見積もらず、自社のタスクやスケジュールを考慮して検討することが重要になってきます。
またアシスタントを用意できるかなども含め、どれくらいのスピード感なら現実的なのかをイメージしておくことが理想です。

スケジュール確認は入念に

ここまで話してきたように、一概に制作期間は定めづらいという現実があります。そのため、ネット上の記事は参考程度に留め、適切な納期はきちっと制作チームとすり合わせて決めていくということが一番大切なのです。

制作チームは、クライアント側の承認プロセスや部署間の関係性などについて、すべて把握できません。そのため制作チームが適切な制作期間と思って提案したスケジュールも、クライアントにとってはスピードが速すぎると感じ、本業を圧迫してしまうことがあります。だからこそ、制作チームが作ったスケジュールは、お互いにしっかりと把握し、調整することが大切です。

とはいえ、スケジュールは状況によって変化していくものですので、厳密に100%固める必要はありません。ただ、ご自身が対応できそうかどうか、イメージが持てるようスケジュールを確認しておきましょう。

同時に、本記事に記したようなタスクや調整があることを念頭に、余裕をもって対応していくことが何よりもベストです。

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