ブランディングとは。

2023.10.19 Thu
カテゴリー ▶︎  Branding

ブランディングと聞くと、嫌悪感や胡散臭さを覚える人も多いのではないでしょうか。
「ファンを増やす」「らしさの創造」「オンリーワンの魅力」「売れ続ける仕組み」などがブランディングを説明する言葉として頻繁に使われてきました。
どこかの小さなしがない会社が「ファン」といわれても、ピンとこないのは当然ですし、「オンリーワン」と言われても、現代はそれが簡単に見出せるほど、単純な世界ではありません。「売れ続ける仕組み」なんて、そんなことできるなら苦労しませんし、「らしさの創造」といわれても、それが何になるのか理解できない人も多いでしょう。

だからこそ、今日はブランディングについて解説したいと思います。

ブランディングとは

平易な言葉でいうと、「計画性をもって、企業や商品、サービスのイメージや認知を形成し、強化するための活動」のことを指します。
ここでいう「認知」というのはただ名前を知られることではありません。そのブランドが誰にどんな便益や価値を与えている存在なのか、ということまでを認知させることです。
結果「特別視」されることを目指して活動します。

毎日誠心誠意をもって仕事に打ち込んでいたとしても、気づいたら不本意なイメージがついてしまっていたり、なかなか特徴や良さを認識してもらえないことは、よくあることです。
一方、たった一言発するだけで「誰々さんがいうなら…」と無条件で信頼される人や企業があります。

前者が「認知されていない」ブランドで、後者が「特別視された」ブランドです。

「ファンを増やす」と言われる所以

ブランディングの話をすると、どうしても消費財などの規模の大きいブランドをイメージしてしまいがちです。
しかしブランドはもっと身近なところにたくさん存在します。取引先に絶大な信頼を抱いてる会社はないでしょうか。

「あの会社は〇〇がほんとにいいんだ。だからあの会社一択だ」と思える取引先が1社くらいはあると思います。会社じゃなくても商品や人、なんでもいい。何か必ずあるはずです。それはその商品や会社などが、あなたにとってブランド力があるということです。
つまり、そういう風に思ってくれる人を増やす「活動」がブランディングなのです。

「ファンを増やす」と、ブランディングが説明される所以は、ここにあります。いわば「絶大な信頼作り」といってもいいかもしれません。

よくある勘違い

ここでブランディングを勘違いしてしまう方がいます。それは「イメージをよくする = ブランディング」なのだと思ってしまうことです。イメージが良いか悪いかは顧客が判断することで、正解はありません。
「高品質なプロフェッショナルな会社」なイメージであっても、「自分には無縁だ」「お作法がありそうで怖い」などの負のイメージを持つ人だっています。
「几帳面な人」を「信頼できる」と捉える人もいれば、「めんどくさい、窮屈」と捉える人もいます。

だからこそ、計画やルール(つまり戦略)をたて、目標の実現にむかって活動していくことが、重要になってきます。何も戦略がなければ、それはただの「いつも通りの商活動」でしかないのです。
ただし、その「いつも通りの商活動」でも結果として、商品や会社にとって都合のいいイメージや認知がされており、明確なポジションが確立されていて、何も問題が感じられないのであれば、ブランディングは必要ないかもしれません。

ブランディングの効果とは

マーケティング効果の底上げ

ブランディングが効果を出してくると、マーケティングの効果も上がってきます。新しいサービスや商品をリリースしても、信頼されやすくなります。人間には「何を言うかではなく、誰が言うか」という心理作用があり、ブランディングは、その「誰が言うか」を作り上げるため、効果の底上げに貢献します。これはすべての商活動の効率を上げてくれるとても重要な効果です。

ミスマッチの軽減

ブランディングでは、商品の実態と顧客が持つ商品へのイメージにズレがない状態をめざします。「期待して購入しても、実際使ってみたら違った」というのでは、到底信頼など得られないからです。結果としてLTV(顧客生涯価値)もあがりやすくなり、クレームの軽減にも繋がってきます。当然営業部や販売員の負担軽減にもつながります。

価格競争からの脱却

低価格帯の商品と高価格帯の商品では、消費者の求めているものに違いがあり、どちらが良い、悪いということはありません。しかし、どちらの価格帯であっても購入要因が価格だけでは、他に安いところが登場すれば、すぐ乗り換えられてしまいます。
どんな価格帯であっても、価格以外の魅力や価値、便益を認知してもらうことは、その価格帯において、多少高くても購入してもらえる要因になります。

ロイヤルユーザーの獲得

ロイヤルユーザーとは製品やサービスを繰り返し利用し、定期的に購入する顧客を指します。言い換えればLTV(顧客生涯価値)の高い人、ということとほぼ同義です。

ブランディングは「イメージや認知を形成し、強化するための活動」です。そのためには性能などのデモグラフィックな強みだけでなく、ブランドの歴史や背景などは共感を呼ぶ一つの魅力と捉え、ブランドストーリーとして表現されます。そうした要素一つ一つから共感を生み、「特別視」される存在を目指すため、ロイヤルユーザーも生まれやすいのです。

その他(人材獲得/理念浸透など)

他にも優秀な人材獲得にもつながることや、インナーブランディングという領域までいくと、理念浸透の促進や企業体質改善、離職率の低下などにも影響が及んできます。

ブランディングとマーケティングの違い

両者の違いについては、それぞれの協会が定義を定めていますが、こういう概念的なものをアカデミックに定義すると、理解しずらい言葉で表現され、実際の感覚とズレていると感じるのは、私だけではないと思います。

ブランディングとマーケティングはセットのような存在で、ブランディングを成功させる為にはマーケティング活動が必要ですし、マーケティングを成功させる為にはブランディングが必要です。そのため、マーケティングはブランディングの一部だと主張する人もいれば、その逆もいます。

それだけ両者の違いは曖昧で、線で区切ることはできません。

実はブランド戦略もマーケティング戦略も(さらには経営戦略も)突き詰めていくと実は同じことを考えています。

「市場を見て、顧客を見て、競合を見て、自社の理念や存在理由、強みを考え、
その上でどういう一手を出すか。どうすれば差別化が図れて、利益が最大化するのか。」

このようにみんな同じように考えています。ただそこには、それらの戦略を担うブランディング会社やマーケティング会社の「職能と役割の傾向」と「思考傾向」に違いがあるだけです。

職能と役割の傾向

  • ブランディング = ブランドの目指すビジョンや、ミッションなどの言語化やデザインのルールなど、ブランドとしてスタートするための土台を整理、作ることを得意としてます。
  • マーケティング = 集客であったり認知の拡大、売る為の直接的な施策を立案、実行するのを得意としています。

思考傾向

  • ブランディング = 魅力的なイメージをつくろう。自社ならではのポジションを確立させよう。会社が持ってる良さを活かそう。現場から変えていこう。
  • マーケティング = 効果的に売ろう。とにかく拡散させて広めよう。顧客ニーズに訴えよう。メディアを活用しよう。

あくまで傾向であり、どちらか一方のみを考えているというわけではありませんが、より強固な施策を実行するには両方の職能と思考が必要です。

部分的なマーケティングは全然違う

マーケティング会社は非常に多岐にわたります。それらには、〇〇マーケティングという名目で、非常に狭い範囲のマーケティングサービスを提供している会社が多数あります。こういうサービスは往々にして、先述した思考傾向が偏りすぎている場合が多く、ブランドイメージを微塵も考えていないことも多々あります。

先述したように、本来は違いは曖昧で、線で区切ることはできないのがブランディングとマーケティングですが、このような〇〇マーケティングは、あくまで独立した一つのサービスだと認識するのが適切かと思います。

ブランド戦略の作り方

ブランド戦略の作り方には一定のカタがあります。

  1. ビジョンやミッションなど、なんのためにこの事業を行なっているのかを明確にする。
  2. 環境分析をおこなう。(社会情勢・競合・顧客ニーズや現状分析など)
    3C分析やSWOT分析、PEST分析などを行い客観的に自社をとりまく周辺を見渡し、
    戦略をねります。
  3. ブランドアイデンティティの策定
    そのブランドの存在意義やコアバリューなど、そのブランドを一言で表す言葉を定義します。
    どんな存在を目指すのかを明確にします
  4. ブランドの浸透
    ウェブや広告、サービス改善、商品開発などブランドのアイデンティティを、より効果的に伝わる施策を実行します。
  5. 経過観察・改善
    実際に狙ったイメージが伝わっているか、それが効果的だったか、など経過観察をおこない、
    改善をはかっていきます。

ざっくり説明すると上記のような流れになります。

ブランド戦略の問題点

こうしたアプローチによるブランド戦略には様々な課題があります。
代表的なものは以下になります。

  • 言葉遊びになる(机上の空論)
  • デザイン制作や実際の施策の際、戦略が宙にういて、実現されない
  • 時間と費用がかかりすぎる
  • 依頼主の労力がかかりすぎる
  • ガチガチに固めすぎていて、フットワークがおそくなる
  • 戦略が失敗したときのリスクが高い
  • 戦略を作るのにエネルギーを使いすぎて、実行されない

こうした課題により、ブランディングの効果に懐疑的になる大きな要因になっていると思っています。

重要なこと。

日本人は「戦略」や「分析」といった言葉に萎縮する印象があると思います。アレルギー反応を起こす人や、こうしなきゃいけないとカタにハマって抜け出せない人がとても多い。
しかし重要なことは、「こういうブランドになりたい!」という前向きな意思を持つことから始まるのだと思います。
こんな商品にしたい、こんな存在になりたい、こんな会社にしていきたい。
それを明確にすることから始めていくことです。

「ブランディングしよう」と初めてしまうと、その言葉の意味に踊らされてしまいます。これはブランディングじゃないとか、マーケティングではないかなど、どうでもいいことに振り回されてしまいます。

結局のところブランドというのは、

  • 好きになってもらうこと
  • 絶大な信頼を築くこと

この二つに集約されるのではないでしょうか。

ナイキやアップルなど伝説的なブランドは最初から、われ戦略だと考えてきたわけじゃない。一生懸命やった先に、上記2つのことを熱狂的なまでに実現できたからだと思うのです。

しかし、それらを自然に実現できないのが大多数です。

大抵は色々な外部影響に翻弄されてしまう。だからこそ、最短で駆け抜けれるようにブランドの研究が行われており、客観的な立場から支援するのがブランディング会社、そして企業に合わせて練られるのが、ブランド戦略なのです。

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コードマークはブランディングデザインの手法を用い、企業のみなさまの意志を深く理解したうえで、貴社にフィットした制作物、制作プロセスのご提案をいたします。

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