ビジョンって何だろう

2020.02.12 Wed
カテゴリー ▶︎  Branding

僕は企業のブランディングとデザインを行なっているので、企業が掲げるビジョンに多くふれる機会があります。
しかし、ビジョンの重要性、解釈や捉え方が人それぞれ違うと感じます。
そこで僕が考えるビジョンと、ブランディングにおいてビジョンの捉え方を書きたいと思います。

一般的なビジョンの解釈とは

ビジョン、ミッション、バリューという言葉をお聞きになったことは多いと思います。
ドラッガーが提唱していることでも有名ですね。
一般的な位置付けでは、ミッション、ビジョン、バリューの順番です。

  • ミッション … 実現したいこと、存在意義・使命、目的、役割
  • ビジョン … なりたい姿、どういう社会にしたいか、目標、夢、志、方向性、将来像
  • バリュー … 行動指針、存在価値、価値観、あり方、姿勢

といった解釈で様々です。
これはどれが間違いというわけではありません。
会社とはアートです。正解はなく々いろいろな形があっていいですから。
ただ一般的にはミッションが最優先。次にビジョンと捉えている企業が多いようです。

ちなみに、僕が捉えているビジョン、ミッション、バリューの定義は以下。

  • ビジョン … この事業を通してどういう社会にしたいか、どんな社会的存在になりたいか
  • ミッション … ビジョンを実現するためにどのような使命、役割を担うべきか
  • バリュー … それによって、どんな価値を大切にしていくか

すべてはビジョンを基軸に捉えています。
それを実現するためのミッション、バリューを考えていきます。

ブランディングの観点でつくるビジョンとは

なぜ僕はビジョンを「どういう社会にしたいのか」「どんな社会的存在になりたいか」といった「社会的ビジョン」として捉えているのかというと、
ブランディングにおいて重要なのは、顧客や従業員など、その企業に関わる人間が、いかにファンになってくれるかだからです。

たとえば、「この業界のナンバー1になる」というのをビジョンにしている企業をよく見ます。
他には「売り上げ100億円を実現する」といった企業も多いかもしれません。

それを聞いたユーザーは応援したいでしょうか。
従業員やその家族はきっと応援するでしょう。しかし、顧客は応援しない。どうでもいいからです。つまりファンにならない。共感を呼ばないのです。

スポーツでは、世界ナンバーワンになる!と多くの選手が言っています。
それをファンの皆さんが応援する。
ですが、我々が行なっているのはビジネスです。誰も応援なんかしてくれません。
だから世の中との関わりを考えていく必要があります。
企業体質や個人の差はありますが、「この業界のナンバー1になる」というビジョンでは過重労働につながりやすくなってしまったり、すべては売れるかどうかだけに指針がよってしまい、マーケティング活動やサービスのあり方に一貫性がなくなり、企業としてのイメージが構築しにくくなります。そうするとブランド力は上がりにくくなってしまいます。

さらに言えば、ファンになるスポーツ選手は必ずしもナンバー1の選手ではありません。
たとえナンバー1ではなくとも、スポーツへの考えかた、姿勢、試合に出る前までの裏側の努力、キャラクター、顔、様々に尊敬する箇所、共感できる箇所があり、その結果、ファンになっていきます。
ですから、社会との関わりを考えることが必要なのです。

「この業界のナンバー1になる」といったビジョンは事業目標として掲げていればいいのです。

ビジョンを定める利点

コモディティー化している業界において差別化する要素となる。

美容室などコモディティー化している業界では、なかなか差別化することは難しい。
差別化ポイントを謳っていても、区別化にしかなっておらず、情報の一つで終わってしまう。
無理に差別化を図ろうとすると突拍子のないものになってしまうのもよくあるケースです。
会社で決めた方針に、従業員がついてこないことも多いでしょう。

ビジョン(どんな理想の社会を目指すのか)は、企業の「思い」から来ています。マーケティングからくるものではなく、理念に近いものがあります。これには、いろいろな実体験や哲学が含まれています。
だからこそ、自然で腑落ち感のある差別化に繋がってくるのです。

サービス開発や改善、マーケティング活動の羅針盤になる

情報多過の時代においてマーケティングや事業サービスは、世に溢れんばかりにあります。
時代とともにドンドン変わっていき、どんな記事や情報をみても「これが重要」「これが必要」「これからの時代はこれ」などの謳い文句が並んでいます。
当然、これら全てを行うことはできず、取捨選択をし企業活動を行っていきます。
ビジョンの設定は、それらの取捨選択において、一つの判断基準になります。
「これを行って、このビジョンの達成につながるのだろうか」
そう考えることで、目指す方向にブレずに進めていける重要な要素になります。

社員と目指す行き先を共有できる

会社の目指す未来を共有するのとしないのでは、推進力がかわってきます。
売り上げが達成できていると現状で固まってしまいがちですが、ビジョンを共有することで、改善ポイントを発見してよくしていく流れへ向かいやすくなります。

ビジョンやミッションは企業理念に近い概念です。

社会的ビジョンにピンとこない人へ

理想の社会をビジョンに掲げるには、なかなかピンとこない方も多いと思います。
たとえばネジを作っている町工場や、ご両親の後を継いだ二代目社長などは、
「いやいや、ネジで社会を変えるなんて」や「いやいやただ継いだだけだし」といった感情を抱くのが一般的です。

ですが、ネジを作っている職人さんはきっとこだわりがあります。
そのこだわりは、どこから来ていいるのでしょうか。
業界の不満もきっと多いはず。なぜ不満に思うのでしょうか。
よい製品を作りあげたいという思いがあれば、それは社会的ビジョンに繋がっていることが多いのです。

そのためには、深く掘り下げていかなくてはなりません。
なかなか自分一人では難しい作業です。
外部の専門家や知見のある人と協力しながら作っていきましょう。
ビジョンがクリアになれば、その後のブランディングにも大きな影響を及ぼします。

CSR → CSV → SDGSへ

日本でも2000年ごろからCSRが推進されてきましたが、実際のところ普及は難しく、CSR = 大手が行うものという考え方が浸透しています。
中小企業にとってはCSRを推進するほど体力がないのが当然です。
しかし勘違いされがちですが、CSRとは社会貢献という意味ではなく「自分たちが汚したものは自分たちで掃除しようね」というのが本来の存在意義です。「体力がないからやりません」では、本来罷り通らないのではありますが、現実そうなので仕方ありません。
そこでCSVという考えが生まれます。自分たちが汚したものを綺麗にする際、うまく利用して、それすらもビジネスとして利益を出していこうじゃないか。
そういう考え方がCSVです。

そして2015年、国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、SDGS。国際社会共通の目標です。
SNSなどの世界的交流で情報の流れは形を変え、ソーシャルグッドな意識は着実に根付いてきています。
そんな中、利益市場主義では逆光した動きなのは明白です。

ブランディングにおいての利点、社会的な動き、そういったものから総合的に判断しても社会的観点を捨てずに描いたビジョンはとても有効だと僕は考えています。
ぜひ、社会的なビジョンを作って、それをブランド戦略に活かしてください。

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