デザイナーに最適な提案をしてもらうためには?

2014.07.14 Mon
カテゴリー ▶︎  Branding Design Web

デザイン事務所や広告代理店に制作を依頼した際に、苦い経験をした方や、いつも満足できないといった方は多いと思います。依頼を受けてから制作する業種ですし、いわゆる“お買い物”ではないので、100%満足させる保証は、残念ながらできないかもしれません。

相性もありますし、依頼内容や予算によってハードルも変わります。しかし、プロセス次第では最適な提案を受けやすくすることはできそうです。

今日はデザイン提案の現場においての背景と、ちょっとした対処法をご紹介します。ただし前提として、クラウドソーシングや「提案無料!!」と銘打っているような安さ重視のデザイン事務所は除外します。(根本的にスタンスが違いますので)

※この記事は2023年5月に大幅に内容変更しました。

提案の質を下げる2つの現実

初めにデザイン提案をする際に障害となる現場の背景をお伝えします。
大きくわけて以下の二つがあります。

  • 業界構造上の問題
  • 提案までの準備の問題

業界構造上の問題

すべてのプロジェクトが該当するわけではありませんが、業界構造が提案の質をさげている場合があります。デザイン業界は多重下請け構造になっています。主に広告代理店やマーケティングなどの戦略を担う会社が元請けとなり、その下請けや孫請けに、ほとんどのデザイン事務所があります。

そのためデザイナー自体が、クライアントからヒアリングを行いたくても出来ないといったことがあります。さらに、元請けである代理店がしっかりと情報を集めてこないといったことも非常に多いです。結果、デザイナーはよく分からないまま作っているなんてことも、よく目にします。
これでは絶対にいいものはできないのです。

提案までの準備の問題

デザインの提案をするためには、クライアントのことを深く知る必要があります。しかし情報収集ができないほど納期が短かったり、そもそも依頼先をコンペで決めるということも非常によくあります。
これらはデザインを提案するための「準備」を端折っている行為です。勉強をせずに試験を受けている状態ですので、当然いいスコアはだせません。
クライアントが設定している期間が短いだけでなく、業界構造上の問題でも述べたように、下請け孫請けへと、伝わるまで時間がかかり、制作時間そのものがほとんど残されていない、ということも原因となっていることもあります。コンペの場合、公平をきすため質問を受け付けてくれなかったり、コンペ提案まで2週間程度しかなく、そのうちデザイナーに話が回ってくるのが提案の1週間前だったりします(場合によっては3日前なんてことも)。
もちろんそれっぽく見た目を良くした提案は出てきますが、企業の実態にそぐわない提案になることは確実です。そのため、クライアントの立場としては違和感を感じてしまいます。

こうしたスケジュールの問題が立ちはだかると、対処方法がなかなか見出せない現実があります。

良い提案とは何か?

そもそも「良い提案」とはなんでしょうか。
まず大前提として、クライアントは、売上を上げるためにデザインが必要なものだと考えています。だからお金を使って依頼する。つまり消費ではなく、投資です。決して企業の好みや趣味を反映させるものではない。

デザインするにあたり、大切なポイントは課題によって変わりますが、絶対に抑えておかなくてはいけないことは、企業や商品が “ターゲット”にとって “魅力的” に見えるかどうか。ここだけはどんな課題でも必須事項になります。その上で、課題をクリアするための狙いと手段を持ってデザインされているかどうか。
これらを実現するために必要な工程を経た上で、デザイン提案へと運ぶ必要があります。しかし、そもそもその土俵にすら立てないプロジェクトが無数にあるのです。

良い提案を受ける為の対処法とは?

良い提案を受けるには、「準備」の時間をしっかりと設け、すぐにデザイン制作に着手しないことが必要になります。しかし、ただスケジュールを伸ばしただけ良い提案に繋がるわけではありません。ようやく土台にたったに過ぎません。
ではよりよい提案をしてもらうには、どうしたらいいでしょうか。

プロセスの提案を要求する

デザインの制作はプロセスが非常に重要です。それによって精度が変わってきます。準備期間もなくいきなりデザインをするということは、言い換えれば課題解決のためではなく、制作が目的になってしまっているのと同義です。
課題解決をするためには、どんなプロセスを踏んだうえで制作すればいいのか、提案を促してみてください。
ちなみに弊所chordmarkでは、ご依頼内容だけでなく全体の広報状況やブランドの状況などをお聞きして、問題点を考察。その上で大まかなプロセスとタスクをご提案しています。もちろん実際に走らせてみたり、状況の理解度が高まったとき、プロセスの変更をすることもありますが、それでも、最初に全体を見通したプロセスがあるのとないのとでは全然違います。

クリエイターを打ち合わせに参加させる

営業窓口の方がフロントに立ち、デザイナーやアートディレクターが一切出てこない、といったこともあります。広告代理店の場合、社内にクリエイターが一人もいない、なんていうこともあります。しかし作るのはデザイナーであり、また専門的な領域でもあります。要所要所でクリエイターと直接話をしましょう。

ちゃんとした会社であれば、言われなくても本来はでてくるものですが、もし拒否されることがあったり、クリエイターがそもそも会話できない人だった場合、もしかしたらその会社は期待できないかもしれません。偏見かもしれませんが、やはりクライアントの状況を理解することに消極的な人に、「課題をクリアする」といった姿勢があるとは思えないからです。

用意する情報の解像度をあげる

これはあくまで “可能であれば” ですが、依頼する際、目的だけなく強みやターゲットなどの情報をまとめられるのであれば、ベターです。また、今まで制作した広報物なども準備しておくといいでしょう。
ちゃんとした会社であれば、クライアントへのヒアリングで聞き出してくれますが、情報を事前にクライアントの中で用意できていると話も早いですし、用意する段階で制作チームへ質問がでてきたりと、プラスの効果があります。
ウェブサイトが前提になりますが詳細は以下のページをご覧ください。

制作体制を把握する

先に述べたようにデザイン業界は多重下請け構造です。下請け構造によって統制がとれるという利点もある一方で、悪い下請け構造も存在します。それは単に中抜きだけしている業者がいるということ。
デザイン費は年々下がっており、非常に厳しい状況に立たされているのも現実です。そういった時代に、1社挟むたび制作費が中抜きされ、デザイナーに入る金額はスズメの涙、なんていうことは死活問題です。
それが嫌なら、そこから抜け出せるようにクリエイターが努力すればいいだけの話ですが、とはいえクライアントが払っている金額のほんの一部分しか実際の制作に回されていないという状況だとした場合、期待に応えるだけの人件費がかけられない、という事態を招いてしまいます。
外部からはなかなか把握できないことですが、制作体制を把握しておくことに越したことはありません。

まとめ

昨今はマーケティングも複雑化し、必要な能力も多岐に渡ります。
また定額制のデザインサービスや、クラウドソーシング、フリーランスを集めたプラットフォームなど、サービス形態も以前より増えました。
この記事の内容を実践したくてもできない事もあるかと思いますが、総じて良い提案を受けるには準備にかけるコミュニケーションが必要ということ。
それができるサービスを選ぶといいのかもしれません。

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コードマークはブランディングデザインの手法を用い、企業のみなさまの意志を深く理解したうえで、貴社にフィットした制作物、制作プロセスのご提案をいたします。

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