効果的なロゴの選び方

2020.09.14 Mon
カテゴリー ▶︎  Branding Design

企業ロゴやブランドロゴなどは長年使用するもので、なかなか変更の効かないものです。ブランディングの領域では、ロゴデザインはブランドを形成する最小要素(生き物でいうところの基礎細胞的なもの)と呼ばれており、とても大切な位置付けにあります。
企業ロゴのご依頼をされる方は、作る前まではすぐ決まるものだと思っていらっしゃるのですが、実際に作ると「いやーロゴって難しいですね!」とかなり悩まれます。

昨今はクラウドソーシングなどでロゴを作られる企業も多く、デザイナー不在でロゴを選ばれる方も多いと思います。そこで今日は企業ロゴの選び方のヒントを書きたいと思います。

パート1 ロゴの基本的機能で選定する。

この基本的機能は、企業ロゴである以上、備えておかないといけない必ず見ておくべきポイントです。クラウドソーシングなどでプロとも素人とも判断がつかない方にデザインをお願いされる場合は、念入りに確認することをオススメします。

視認性は高いか

視認性が高いというのは、目立つことではありません。どんな時でもちゃんと見えるかどうか、という意味です。
ロゴは大きく使用する時もあれば小さく使用する時もあります。ですので、最小サイズ時のロゴも見せてもらうようにしましょう。

また事業内容によってロゴを使うシーンが異なります。ファックスを多用する業種もあれば、そうでない業種もあるでしょう。どんなシーンで使うのか一旦洗い出してから、それらのシーンでちゃんと視認性もって見えるか確認しておくといいです。
また、壁に貼って遠くから見てみるのも効果的です。

10年使用しても飽きがこなさそうか

企業ロゴやブランドロゴは10年間は使用できる普遍的なものをオススメします。これはなにも独創的なものはダメといっているわけではありません。流行を追ったものは避けましょうという意味です。
10年後、古臭いロゴに見えないかどうかは、選定基準として必須と思ってください。その上で自社らしさが表現されているかどうかです。
そう考えるとロゴって難しいですね。

ちなみに、イベントロゴ、キャンペーンロゴなど息の短いものは別です。これらは今のトレンドを十分に盛り込んで問題ありません。

使用した時に使いやすそうか

ロゴ単体で判断するのではなく、ロゴの使用例をよく見て判断することオススメします。使用例はあくまで簡易的にイメージしやすいように作られているサンプルなので、その通りに使用されるわけではありませんが、実際に使いやすそうか、使ったときの視認性があるか、飽きがこないかなど、先にあげたロゴの選定基準を確認する上でも役に立ちます。
そして、自社が頻繁にロゴを使用するであろうシーンは、重点的に検討するといいでしょう。

ここ数年、ロゴを変更する大企業は増えています。もちろん戦略的背景も理由にありますが、一方でデジタル媒体に適応するためともいわれています。
中でも極端にわかりやすく、そして有名な事例がマスターカードです。

まさにこれはデジタルシフトするためにロゴをリニューアルしたケースです。シンプルにしてモニター上での視認性を高めただけでなく、インタラクティブな動きにも対応できるようにとこのデザインに変更されました。この様に利用シーンを軸にロゴを選ぶことも大切です。

色の選び方

色も基本的には上記で記した考え方で選んでいきますが、ロゴの色はコーポレートカラーとして使用されていくパターンがほとんどです。ロゴの色とコーポレートカラーが別というケースももちろんありますが、あまり一般的ではありません。
ロゴ色を背景にベタ塗りで使用して、その上にロゴを白抜きなどで配置した時の印象もみてみましょう。そうすると結構印象が変わる時があります。その印象が自社にあってるかどうか、確認してみるといいです。

さらに色のコントラストの問題もあります。
極端に薄い色と極端に濃い色の組み合わせでロゴを作ると背景に色や画像を敷きづらくなります。ブランド全体のトーンとして白背景で統一するのであればいいですが、制約がかかってしまうので、意図がない限りあまりオススメしません。

形と色は、分けて考える

色が気に入ったという理由で案を選ぶ企業がいますが、これは選定基準としてとても損していますし、効果的ではありません。
なぜならロゴはカラーで使う時もモノクロで使う時もあるからです。
そして形はちょっと変形すると意図した見え方にならなかったり、バランスが崩れて一気に完成度が下がることもありますが、カラーはあとでいくらでも変えられます。

まずロゴを選ぶ時は、形。それから色をいれた時の見え方の順で判断していきましょう。

パート2 事業戦略的観点で選定する。

パート1ではロゴとしての必要な機能にあたる部分をかきました。ここからは会社としてどう見られたいか、どんなポジションを望むのかという戦略的観点でロゴを選定します。
ここが一番重要ですが、全く戦略を練らずにロゴを作り始めちゃう企業やデザイン事務所が多いのが現状です。

自社らしさが表現できているか

これはわざわざ書かなくても皆さん当然のごとく考えていると思います。ロゴを選ぶ時、「自社っぽいか否か」ですね。
ですが、いざ「自社っぽいロゴ」を選ぶ時に直面すると、何を基準に判断したらいいのかわからなくなるものです。ましてや複数人の社員とディスカッションして決めるとなると尚更です。

そこで基準となるのが、理念や大切にしていることなどのマインド。そして活動内容などの背景です。それによって佇まいが変わります。たとえ事業内容が他社と対して差はなくとも、このマインドが他社の違いを生み出してくれます。
だからデザイナーはヒアリングを行うんですよね。
ブランディングを行なうと、この基準となりうる自社らしさの部分が明確に定まるので、ロゴからパンフ、ウェブにいたるところまで判断基準が分かりやすくなり、ブレづらくなります。

ロゴにはもちろん意味が必要です。
なぜなら自社がそのロゴを掲げる意味につながるから。そしてブランド全体のイメージづくりを考えた時、「こういうブランドだからこういう佇まいなんだ。だからメッセージとしてこれを載せるべきだ。そしてそれを表現するとこういう形だ。」と筋道が立っていると、その他のブランドイメージを担うパンフレットやウェブサイトのデザインにもつながっていきます。

しかし、「この丸は愛情を、この線は地球を意味しています」と、あきらかに後付けで言っているだけの、ロゴには意味の効力があまりありません。
ぶっちゃけ「はあ、そうすか。。。」ってなりませんか? 僕はなります。
これは意味を擦りつけただけで、意味を考えた(いいかえれば企業の見え方を考えた)わけではないからです。言葉に振り回された「意味」に囚われるのではなく、見た時にどう感じるかという点で見ることも忘れてはいけません。

ちなみに僕が名作だと思っているのは、サントリーのロゴ。リニューアルした時、感動しました。案の定、その年の東京ADCという日本最高峰であるデザイン賞を受賞しています。

コーポレートメッセージは「水と生きる」。
サントリーの水を大切にする姿勢をコーポレートメッセージにしています。そしてそれを体現するデザイン。水のようにやわらかいイメージ、躍動感を感じます。
サントリーの佇まいとしてふさわしい、すばらしいロゴだと思います。

会社はどんなポジションに位置づいているのか。

会社は業界内でどんなポジションにいるのか。はたまたどんなポジションに位置づこうとするのか。
高学歴、高職歴なエリートが集まり、高度はことしかやらない高貴なポジションにある企業なのか。それとも創造性豊かなユニークなポジションにある企業なのかで、当然ロゴの佇まいは変わってきます。
先に述べた自社らしいかどうかというのは感覚的で主観的な視点になりがちですが、企業のポジションを考えることは、より客観的で戦略的な視点を持てます。ここはぜひ、ロゴを作る前に検討しておきたい事です。

誰にどんな印象を与えたいのか

誰にむけた商品を扱っているのか、主に誰に好きになってもらいたいのか、ターゲットを定めたうえでデザインを選定するのは鉄則です。しかしながら企業ロゴの場合、複数の事業を行なっていて、ターゲットが異なるケースがあります。

昨今のターゲットの主流な定め方に、ペルソナというものがあります。ターゲットをまるで実在する一人の人間であるかのように、具体的に人物像をつくりあげる手法です。
これの利点は、より具体的にそのターゲットが何を好むか想像できる点にあります。しかし一方で、企業が複数の異なるジャンルの事業を行なっており一人に絞れない場合、どうするかという難点があります。その場合複数のペルソナを用いるか、クラスターといってもう少しターゲットを広く設定するものもあります。
ターゲットは具体的であればあるほどロゴの選定はラクになりますが、企業の事業範囲によって、どの程度ターゲットを広くとるべきかは柔軟に考えていいはずです。

自社で定められるターゲットの範囲を考え、そのターゲットがそのロゴを見てどんな印象を与えられるかは、有力な選定基準になります。

最後に。優先順位をつける

これまでざっと選定基準を説明してきました。いかがでしたでしょうか。冒頭でも書きましたがロゴの選定は実際やってみると難しいものです。ですので、あくまで今回書いた基準は目安でしかありません。企業は状況、立場によって本当に様々違います。
その為、全てにおいてパーフェクトにクリアできるロゴは難しいかもしれません。そして何より制約が増えれば増えるほど、画一的なデザインになってしまいます。選定を簡単にするためにも、ぜひ優先順位をつけてからロゴの選定をしてみてください。

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